飛蚊症のお話
「目の前に、時々ゴミや糸のようなものがちらついて見えることがあります。友人に飛蚊(ひぶん)症ではないかといわれましたが、どんな病気ですか?また、悪化することもあるのでしょうか?」(33歳 主婦)
遠い青空や、白い壁を見ていると目の前にゴミ、糸くず、虫のようなものが見え、目を動かすといっしょについてくるように感じたことはありませんか。このような症状を飛蚊症(ひぶんしょう)と呼んでいます。
眼球中央部には80%の容積をしめ、水晶体と網膜(視神経が薄い膜のように拡がって眼球の内面に拡がったもの)に囲まれたゼリー状で透明な物質でできた硝子体があります。この硝子体は99%の水、1%の固形物(コラーゲン、ヒアルロンサンなど)が均一に分散してゼリー状となっています。
このコラーゲン線維から水分が分離、ゼリー状から液状へ変化し、コラーゲンの凝縮により網膜から剥がれる過程や結果として硝子体の混濁ができ飛蚊症の症状が出現すると考えられています。この網膜から剥がれることを医学的に硝子体剥離と呼んでいます。
これは加齢によって起きることが多いので、たいていの場合は心配いりません。ただ、網膜が薄かったり、網膜と硝子体の癒着が強かったりすると、網膜に小さな裂け目ができて硝子体中の液状物質が侵入して網膜剥離がおきます。
網膜剥離を起こしやすい状態にある強度近視、眼球打撲後、白内障手術後、アトピー性皮膚炎のある人も注意が必要です。
近年、レーザーの発達により、この裂隙を早期に塞ぐことが可能となりました。5~10分程度でレーザーは終了します。
飛蚊症の数が多かったり、混濁の程度が強く見ずらい時、ピカピカ閃光を感じるようなときは網膜剥離の前兆といわれていますが、無症状の場合もあり、硝子体出血や、ぶどう膜炎のような他の疾患の場合もありますので眼底検査が必要となります。
レーザー光凝固術は安全に比較的短時間に可能となっていますので早めに眼底検査を受け確認されることをお勧めします。